遺産分割

遺産を分割する方法は、被相続人(亡くなった人)の遺言によるもの、相続人全員の協議によるもの、家庭裁判所での調停によるもの、の3通りです。

遺言があれば、最優先されます。但し、相続人には遺留分があります。

遺言がなければ、相続人全員で協議します。法定相続分を参考にしますが、全員が同意すれば、どのように分配してもかまいません。ポイントは相続人が全員参加することですので、音信不通の人がいても、何とか連絡を取ります。未成年者や行方不明者でも、きちんと手続きをしなければ、その者を除いた遺産分割協議は無効になります。

どうしても協議が調わないときは、家庭裁判所に審判の申し立てをします。ある統計によると、相続発生の約1割が、家庭裁判所に持ち込まれているそうです。

遺産分割協議のやりなおし

一度成立した遺産分割協議をやり直すことはできるのでしょうか?遺産分けも相続登記も終わった後で。

最高裁の判決では、相続人全員の同意があればできる、となっています。(最判平成2.9.27)

遺産分けもやりなおされ、相続登記もやりなおされます。

しかし、税金だけはやり直しできません。

長男に相続された土地を、次男に相続させるように遺産分割をやり直した場合、
税務署はこれを贈与とみなします。

つまり、登記上は長男の相続登記を解除して、そもそも次男に相続されたもの、として登記できるのですが、

税金上は長男が相続した土地を次男に贈与したとみなすのです。

こうなると多額の贈与税がかかります。

書類上で兄弟で売買したことにしても、長男には譲渡税がかかります。

 

安易に遺産分割をすると怖いです。。

税金から逃れることはできません。

寄与分

相続人の間で公平に遺産を分けるために、寄与分という制度があります。

被相続人(亡くなった人)の財産を築くために、陰ながら支えたり、無償で手伝ったりした人は、そうでない人よりも多く分けてもらうのが当たり前です。

被相続人の財産形成に寄与した分、として、受け取ることができます。

しかし、具体的な金額等を決めるのは、相続人同士の話し合いによります。
自分では相当、寄与したと思っていても、他の相続人はそうは思ってくれないかもしれません。ここでお互いの言い分がかみ合わず、なかなか合意できないのです。

お互いが譲らず、納得がいかない時は、家庭裁判所で調停をします。

寄与分をもらう方にしてみれば、全遺産の半分か、それ以上をもらって当然と思うかもしれませんが、実際の判例では認められにくいようです。

30年から40年にわたって被相続人の家業を無償で手伝ったというケースでも、全遺産の1割から3割。

妻の方が稼ぎ頭で名義だけが夫になっていたケースでも、5割がやっとです。

夫が亡くなってから妻の貢献度を主張しても、他の人には残念ながら伝わりません。
生前に遺言を書いておいてもらうのが確実です。

特別受益

被相続人(亡くなった人)から生前に多額の贈与を受けていると、相続の時に相殺されます。

兄弟のうち一人だけが結婚式の費用を出していてもらったり、マイホーム購入の頭金を出してもらっていたりすると、その分は相続に先立ってもらったものとみなします。

たとえば遺産が3,000万円あって、相続人が子供たち3人だけだと、法定相続分は1,000万円ずつです。

しかし、長男だけが結婚費用500万円を生前に出してもらっていたら、その500万円を遺産に加算すると仮定して、3,500万円を3人で分けます。長男以外は一人当たり1,166万円になります。長男は500万円を先にもらっているのでここから引いて、666万円になります。

問題は何が特別受益になるのか、ということですが、親の負担すべき扶養義務の範囲内と認められるものは、特別受益になりません。大学の学費も、親の財力にもよりますが、特別受益ではない、とされる例もあります。

土地を生前にもらったら

生前に土地をもらっていたら、特別受益に当たります。

親の土地にアパートを建てたり、自宅を建てたりして、土地を無料で使用していても、同じです。親と同居していれば特別受益にならないケースもあります。

特別受益に該当すると、他の相続人から遺産分けを主張されたときに、特別受益分を差し引きします。

相続の遺産分割は、基本的には相続人全員が同意すればOKです。
法律で、必ず特別受益分を差し引きさせられるわけではありません。

折り合いのつけどころが、難しいんですね。

地主さんの賃貸アパートと家賃

賃貸アパートや賃貸マンションなど、家賃収入のある収益不動産を相続する場合、

相続開始から遺産分割決定まで何年もかかったりすると、その間の家賃収入はだれのものか、が問題になります。

民法では、「遺産の分割は相続開始のときにさかのぼって効力が生じる」、となっていますので、一見すると、遺産分割で収益不動産を相続することが確定した相続人が、被相続人(亡くなった人)の死亡から遺産分割決定までの間の家賃をもらう権利がありそうです。

しかし判例は、遺産分割が決まらない間の家賃収入は、相続人全員の共有財産である、として、家賃収入と収益不動産は別のものであるとみなしました。

遺産分割確定後は当然、収益不動産の家賃収入ももらう権利がありますが、遺産分割確定前は共有財産ですので、法定相続分にしたがって分けることになります。

これではなんだか収益不動産を相続した相続人も釈然としません。

遺言があればこのようなことにはならないのです。

未成年者が相続人になるとき

夫が亡くなり、妻と子供が相続人になる場合、妻と子供は利益が相反します。

未成年の子供の相続分を妻が勝手に自分のものにしてしまうかもしれないからです。

そこで法律は、未成年の子供のために、特別代理人を選任することを義務付けています。

妻と子供は利益が相反するため、妻は子供の代理人にはなれません。子供の住所地の家庭裁判所に申し立てて、特別代理人を選任してもらいます。

子供が2人以上いるときは、1人ずつ、それぞれに選任されます。

大きな資産がなく、親子円満なご家庭でしたら、わざわざ特別代理人を選任しなくても問題が無い場合も多いのですが、法律上は、そのような遺産分割協議は無効とされます。

将来の子供さんのためにも、きちんと法定の手続きを踏まれたほうがよいでしょう。

生命保険金は特別受益か

相続人の一人だけが、多額な生命保険金を受け取ると、他の相続人は不公平に感じます。

民法では、相続人の間の不公平をなくすために、特別受益という制度があります。

故人から生前に、ほかの相続人よりも多くの金銭等をもらっていた相続人は、特別受益者として、ほかの相続人よりも相続財産の受け取り分を減らそう、というものです。

多額の生命保険金を受け取った相続人は、特別受益者に当たるのでしょうか?

判例は、生命保険金は特別受益に当たらない、としました。生命保険金を受け取った相続人は、保険金は保険金として受け取り、相続財産は相続財産として、遺産分割に参加できます。

ただし、他の共同相続人との間に生ずる不公平が到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、特別受益に該当する、と判例は続いていますので、注意してください。

遺産分割調停

遺産相続において、相続人の間で分割協議がまとまらないときは、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。(参考 裁判所ホームページ

遺産分割とは、相続人が任意でおこなうものであるため、法律をもってしても強要することはできません。相続人が行方不明であったり、未成年者であったりして遺産分割協議に参加できないときは、法律に解決策がありますが、正常な判断のもとに、自分の意思で遺産分割に参加しない相続人がいるとき、これを強制する手段はないのです。
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生前贈与の持ち戻し

相続まで待てない、または今すぐ資産が必要だといったときに、生前贈与がなされます。

しかし、相続人が複数いる場合、生前贈与は特別受益として、相続財産に持ち戻しがされますので、生前贈与を受けない相続人には平等ですが、生前贈与を受けた相続人には、せっかくもらったのになぜ返さなければいけないの?と不平等に感じてしまいますね。
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